MOS試験に比べ、日商PC検定の出回っている情報が非常に少ない&新しい情報が見当たらなかったので、2025年夏に受験した筆者が最新の情報を記事にしてみました。
ちなみに筆者の経験した検定会場は、Windows11のoffice2021といった環境でした。
(あくまでも経験した際に感じた事などを書いた個人的な意見や感想を記載したブログ記事であり、100%確実と言い切れる部分はないことを予め伝えておきます)
実技の難易度は?
おそらく3科目中で最も難易度は高いです。
その理由は、きちんと勉強していても、文章の修正部分は「正解なのか自信がない」と思われる箇所が必ず出てしまう点にあると思います。
これが昔ながらの人の目によるアナログ判定であれば、おかしな日本語でない限りは正解になるであろう文章の修正であっても、コンピューターによる判定では「想定外の修正はNG」となってしまうわけです。
(ので、コンピューターの想定内……模範解答を予想する必要があるわけですね)
H25までは科目別に合格率が発表されていましたが、2級・3級ともに合格率は約5割でした。
(2025年に受験した際に使用したデータの発信日は2006年でしたので、おそらく出題内容や難易度は約20年の間は変わってなさそう?)
低い合格率の理由は単純で、単なるWordの機能を使いこなす検定ではなく、日本語能力の問われる検定だからです。
誤字脱字はもちろん、本来は漢字で記載すべきではない文字の把握や、表記の統一などなど……文字に関わる仕事をされてない人ほど苦労する検定です。
そして、出題される問題ですが……正直、当たり外れがあると思います。
報告書・議事録・提案書などのビジネス文書2ページ分を作成しますが、おそらく議事録が最も難しいかな、と思います。
議事録は他の文書に比べ、とにかく入力する部分が多い上に、表記の統一をしつつ、誤字を見つけて修正せねばなりません。
点数配分は公表してないので確実な情報ではないのですが、おそらく誤字1文字につき3点の減点がされているようなので、入力する文字が多ければ多いほど難問となるわけです。
また、他の文書は名前の入力は宛名と差出人のみの入力となりますが、議事録は出席者や欠席者全員の名前を入力せねばなりません。
佐藤とか鈴木とか田中とかメジャーな名前ばかりなら良いのですが、児島とか微妙にマイナー寄りな名前も出してきます…。
3科目中で最も難易度は高いと言いましたが、プレゼン資料作成(PowerPoint)より文書作成(Word)の方を先に受検することを強くお勧めします。
と、いいますのは、文書作成のテキスト内容に掲載している図形の内容部分が出題範囲として被っているのに、プレゼン資料作成のテキストには非掲載部分が多いからです。
(筆者が受験を視野に入れた際にググった結果、簡単だと知ったプレゼン資料作成の方を先に申し込んだら……一部の出題範囲が文書作成テキストしか記載されてなくて、ほぼ同時進行で学習する羽目になりました)
3級との違いは?
1番大きな違いは、3級は1ページのビジネス文書に対し、2級は2ページとなる点でしょうか。
3級の場合は、大体の場合は文字+表(稀に、単純な図形による図解)で構成されているのに対し、2級は複雑な図形やSmartArtグラフィックで構成された文書です。
目分量ではなく正確にオブジェクトを配置する必要が出る事が多々あります。
書式の面では、スタイルの適用および変更→すべてのスタイルに反映、といった流れがあります。
また、下線の設定だけではなく、段落全体に罫線を引く問題も出てきますので、問題文に慣れるまでは使い分けが分かりにくいかもしれません。
開く必要のあるファイルは1点ではないのも2級の特徴です。
少なくとも2ファイル以上ありますし、問題を解くためのファイル自体が「.docx」ではなく、テンプレートファイルな事もあります。
これが最大の罠でして、ファイル形式がWord文書じゃない事に気付いてない場合、採点対象にならず……不合格となります。
特に難しくはありませんが、Word以外のファイルを開き、貼り付ける作業が出る事もあります。
(後述しますが、どの試験会場でもWindows11になった都合で、Win10以前にはなかった問題点が浮上しました)
100%確実な情報ではありませんが、(3級は未経験で)いきなり2級を受験しようとする方は、1つだけ注意点があります。
3級の公式テキストには掲載しているのに、2級は非掲載の内容が1つあります。
それは、Wordの表による関数の挿入です。
現行の2級の公式テキストでは出題されていませんが、2010版まで存在していたテキストには出題されていました。
ExcelとWordの関数は同じように見えて、違う部分が結構ありますので要注意。
(この内容だけで1つの記事が作れる程にExcelとWordの関数は違います。余裕ができたらWordの関数の記事を作ります)
……とはいえ、暗算をして直接数字を入力しても正解になるので、もし出題されたとしても何とかなります。
実技問題を解く流れ
ある程度のパターンはありますが、データ活用のように決まった手順通りには進みません。
出題されるであろう内容を大体の順番で記載していきます。
ただ、模擬試験の具体的な内容まではブログ上では記載できませんので、公式テキストと合わせてご覧ください。
リンク
文書番号・発信日を入れる
問題文では、どこに入れろと具体的な位置は教えてくれません。
ビジネス文書の基本なので、3級のテキストでは記載されていましたが、2級のテキストでは知っていることを前提として出題されます。
入れる位置は、1行目に文書番号、2行目に発信日です。
そして、どちらも必ず「右揃え」にします。
……問題文に右揃えにしろと書かれていませんが、ビジネス文書の常識なので言われなくてもやらねばならない事、つまり日商PC特有の「裏指示」という物です。
宛名を入れる
「○○さんに発信します」といった問題文が出たら、宛名として入力します。
先程の文書番号・発信日と同様に、どこに入力しろとは書いてありません。
こちらも3級テキスト掲載内容で、ビジネス文書としては基本中の基本ですから2級テキストは非掲載。
入れる位置は、発信日の次の行となります。
(文書番号がある場合は3行目、ない場合は2行目)
注意点は、入力しようとした時、すでに右揃えの書式が適用されてしまっている事が多い点です。
宛名は左揃えが基本ですので、「書式のクリア」ボタンを押すか、「右揃え」ボタンを押して解除するか、「両端揃え」のボタンを押しましょう。
そして、最大の注意点は、正しい敬称をつけることです。
問題文に「○○さんに発信します」と書かれているからと言って、「○○さんへ」と友達へ送る手紙のように書いてはなりません。
個人宛ならば、敬称は「様」。
企業宛ならば、敬称は「御中」。
企業名+個人名ならば、企業名 個人名「様」と、名前の後ろにだけ敬称を。
ここら辺も問題文には書かれていないが、ビジネス文書の常識として修正すべき「裏指示」です。
文字にかかる書式(罫線)
標題や見出しで罫線を引くように指示される事がありますが「下線」と「段落罫線」の2パターンあります。
「下線を適用」と言われたら、該当する文字を選択後、≪ホーム≫タブの≪フォント≫グループ内にある≪下線≫のボタンを押しましょう。
「段落を囲いましょう」とか「段落の周囲を○ptの影付きで囲いましょう」とか「段落の上下に罫線を」とか書かれていたら、段落全体を選択後、≪ホーム≫タブの≪段落≫グループ内にある≪罫線≫の横にある▼をクリックし、1番下にある≪線種とページ罫線と網かけの設定≫を押しましょう。
設定対象が「段落」になっている事を確認しつつ、問題文通りの設定をしていきます。
(この設定が苦手な方は一定数いるので、上手く操作できない人はテキストをしっかり読み込んでください)
スタイルの適用・修正・更新
Wordの機能である「スタイル」を使う問題が多々出題されます。
このスタイル機能を使うと、選択されている段落すべてに、スタイルとして設定されている書式(フォントサイズや色や罫線など)が一発で適用されるというものです。
主に、見出しに使います。
スタイルを設定しておくことにより、「全ページの見出しの文字を全部ひとまわり大きくして」といった修正指示がきても、一瞬で変更が可能となるわけです。
(日商PCでは出題されませんが、見出しをスタイルに設定しておくと、目次の自動作成ができて便利です)
スタイルの適用は、上に書いた通り適用したい段落を選択(ぶっちゃけて言ってしまうと、段落にカーソルを置くだけでも大丈夫)し、≪ホーム≫タブ→≪スタイル≫グループにある任意のスタイルをクリックするだけです。
さて、適用したスタイルから変更したい場合ですが、主に2通りのやり方があります。
簡単なやり方としては、スタイルの適用した段落を選択し、いつも通りに書式を変更します。
(問題文では、太字にしろとか、フォントを変更しろとか書いてあるので、その通りにします)
この状態では、同じスタイルの他の段落は変更されておりません。
ここから、もう1つの手順が必要となります。
変更した段落を選択したまま、≪ホーム≫タブ→≪スタイル≫グループにある≪今現在、適用されているスタイル≫の上で右クリック。
そして、≪選択個所と一致するように○○(スタイル名)を更新する≫をクリックします。
これで、同じスタイルが適用されている段落は、全て変更後の書式となるわけです。
文章を箇条書きに変更する
そこそこの頻度で出題される内容です。
普通に書かれている文字を箇条書きの形式に修正します。
基本的には句点「。」の位置で改行をします。
箇条書きにする時は、接続詞はバッサリ削除することをお忘れなく。
この問題と共に、「である体」or「体言止め」にしろという指示がされている事もありますので、そちらの修正も忘れないようにしてください。
(プレゼン資料作成でも、同様の問題が出ますので、慣れておきましょう)
別ファイルをコピーして貼り付ける
これも出る頻度は高いですが、別ファイルがWordデータ・Excelデータ・txtデータのいずれかとなります。
WordやExcelのデータは略しますが、問題はテキストデータです。
ダブルクリックして開くと、当たり前ですが「メモ帳」というWindows標準アプリで開きます。
実は「メモ帳」アプリはWindows11より大幅に変更されている部分があり、これが非常に厄介です。
検定会場のPCのメモ帳アプリの設定を変更されていない場合、前回の使っていたファイルが開かれた状態で待機しております。
必要のないデータが開かれているタブと、ダブルクリックで開いたデータのタブ、2つのタブが表示されてしまっています。
わかっている人なら、開いたファイル以外はスルーしておけば良いのですが、知らなければ「何これ?」状態ですよね。
それ以上に「メモ帳」の困った点がありまして、自動的に編集内容が上書きされてしまうのです。
メモ帳アプリ上で文字修正の作業をしてしまった場合、最初の状態を確認したくでも出来なくなってしまいます。
ので、テキストデータをメモ帳で開いたら、まずは≪編集≫→≪すべて選択≫をしてコピー。
そのままWordファイルの任意の場所に貼り付けてしまいましょう。
テキストデータは誤って編集してしまわないよう、貼り付けた後はすぐ閉じておきます。
Word貼り付け後は、自分の思うがまま修正してください。
上記の手段の他の手としてですが、≪挿入≫タブ→≪テキスト≫グループ→≪オブジェクト≫横の▼をクリックし、≪テキストをファイルから挿入≫で、メモ帳アプリを使わずにtxtデータをWordに取り込む方法もあります。
(覚えにくいので、メモ帳を開いた方が楽だと思いますが…)
表記の統一、誤字の修正
メモ書きから文章を入力する問題と共に、よく出される内容です。
誤字は主に漢字の変換ミス(例:「○日以降」が「○日移行」になっているとか)を見つけて修正します。
表記の統一は非常に厄介で、「取り組み」「取組み」「取組」など送り仮名が統一されていない場合もあれば、単純に全角と半角数字が混ざっている場合もあり……具体的には教えてくれません。
しっかり文章を読む必要がありますので、多くの文章量が修正範囲となってしまった場合は、後回しにするのも1つの手です。
ただ、スルーした際の恐ろしい点は、修正すべき文字数が多かった場合、完全スルーすると文字数分の減点が待っているところですorz
2ページ目を作る
2ページの作成方法は主に3つあります。
・そのままダラダラ文章を流し込んでいくだけ
・区切れのいい所で改ページを入れる
(改ページ挿入の位置は具体的には知らされず、自分で判断する必要があり)
・最終行に2ページ目を挿入し、用紙の方向を変更する
(セクション区切りで改ページの必要があり)
1番目の方法の注意点は特になし。
2番目の方法は文書をしっかり読んで理解する必要があります。
3番目の方法は2段階の手順が必要となります。
ただ、2番目と3番目は同じ改ページに見えても、挿入すべき区切りが違いますので、そこら辺も気を付ける必要があります。
画像や図を挿入し、大きさを変更する
3級では画像を挿入した問題は出ないと思いますが、2級では出る場合が多いです。
大体の場合、画像の挿入後に大きさの変更(大体のサイズで良い場合と、厳密なサイズ調整が要求される場合もあります)します。
そして、更に画像の配置する位置も指示されている事もあります。
図(図形)も同様で、挿入後にサイズ変更。
中でも不正解率が高いのは、複数の図形の正確な配置でしょうか。
同じ図形を等間隔に置かねばならない時、寸分違わず正確な配置が求められます。
実務ならば目分量で大体同じぐらいの等間隔で……という場面であっても、検定はコンピュータによる判定ですので、Wordの機能を使って正確に等間隔で配置するようにしましょう。
(もしかしたら大体あっていれば正解になるかもしれませんが、模範解答ではWordの機能で正確に配置するように書いてありますので、大人しくこの方法でやった方が無難だと思われます)
表の一部を編集する
2級の現行テキストの模擬試験では表の出題はないようですが、過去テキストにはあったので、軽く記載しておきます。
特定の行や列を削除をしたり、セルの結合や分割が指示されることがあります。
その他に、
・表の外枠を太線にする
・一部のセルに網かけをする(注:ふつうに薄い色で塗りつぶします)
以上は3級で習った範囲です。
(2級は3級の範囲ができていることが前提であるので)どちらもスムーズにできるようにしておきましょう。
ページ番号を挿入する
特に難しい内容ではありませんが、ページ番号の挿入は出題頻度は高めです。
日商PCの場合は、ページ下部の中央にページ番号を入れるように指示されるのが定番なようです。
入れるページ番号は、≪シンプル≫の≪番号のみ2≫を選べばOKです。
現行テキストの模擬試験では出題されていませんでしたが、過去にはページ番号のみではなく、「ページ/総ページ数」を入れる問題もありましたので、一応こちらのパターンも書いておきます。
こちらの場合の入れるページ番号は、≪X/Yページ≫の≪太字の番号2≫を選べばOKです。
名前をつけて保存する
問題文の最後に必ず出題される内容ですが、検定を開始したら真っ先に解く問題がこれです!
保存するフォルダー名を間違えないように。
そして、ファイル名も間違いないように。
……どちらか片方でも間違えてしまったら、不合格が決定します。
名前をつけて保存する際は、「ファイルの種類」を確認してから保存する癖もつけておいた方がいいです。
テンプレートファイルを開いて解く問題が出てしまった方は、ファイル名だけ気を付けてしまうと……やはり、同様に不合格が決定します。
問題文には、Wordファイルで保存するように指示されていますから、ファイルの種類を変更していないと不正解になるわけです。
また、試験会場のPCが拡張子を表示するような設定になっている場合は、特にファイル名を気を付けてください。
ファイル名を入力する際ピリオドを消してしまい、ファイル名の後ろにdocxがついた上で、.docxの拡張子がついて保存されていた……というミスをする方、けっこういます。
知識問題の難易度は?
3級のように社内・社外文書の種類の把握はもちろん、文書の構成要素の名称やフォントの形・名称、図解による表現や図形のもつ性質、色による表現……出版業界なら基礎的な部分とも言える知識ですが、一般人には知らない名称が山のように出てきます。
(例:柱、版面、見出し、リード、本文、キャプション……これらの単語を見て、どれが何を表現する単語かわかりますか?)
文書全体の構成や文書の展開方法を学ぶ必要があります。
ここら辺が覚えるまでは、非常に大変に感じる部分かもしれません。
また、覚え間違える人が多い慣用句も出題されます。
(例えば、「足をすくわれる」を「足元をすくわれる」と覚えている人、結構いますよね?)
敬語は、丁寧語と尊敬語と丁寧語の3パターンを覚える必要があります。
日頃から本をよく読む方や、敬語を使っている方であれば苦労はしないと思いますが、そうでない人は厳しいかもしれません。
……などと少し脅してしまいましたが、問題集を解いて、解答ページに書いてある解説に出てくる用語を含めて覚えてしまえば満点は取れます。
筆者は全ての科目で全30問中、28~30問の正解となりましたので、きちんと覚えてしまえば点数を取るのは容易です。
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まとめ
正直、この検定は使用するWordの機能自体はそれほど難しくはありません。
ページ挿入とスタイル以外は、普段からWordを使っている人なら当然のように知っている機能なのではないでしょうか。
ただ……実技の方は日本語のテストと言っても過言ではないほどで、修正方法によってはガンガン減点されてしまうのです。
簡単な問題に当たれば満点を取ることは勿論可能ですが、運悪く難問に当たってしまった場合はしっかり勉強していても、10点、20点の減点が出ても不思議ではありません。
とはいえ、パソコンという枠組みに囚われず、学んでいて損はない内容と言っても過言ではないぐらい、充実した内容の検定なのは確かです。
(コンピューターによる判定が不可解な点に於いては、何とかしてほしいとは思いますが……)
特に、ビジネス文書の作る機会の多い事務職を目指す方なら、実際に受験するかどうかは置いておいても学習しておいた方が良いと思います。
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